俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
雑誌とかに載ってるくらい有名人なのに…。

「か、翔さん、見られたら大変ですから…。」
思い切って翔の胸を押してみる。
思っていたより筋肉質で、自分とは違う感覚で果穂は戸惑う。

「誰に見られても堂々としてればいい。
また離れ離れなんだ。今だけは実感させて欲しい。」
さっきよりもぎゅっと抱きしめられて、身動きが取れない。

鼓動がドキドキと高鳴って、きっと翔さんに伝わってしまう。
腕を翔さんの背中に回してそっと抱きついてみる。

ストーカーに会って以来、男性は苦手だと近づかない様にしていた所がある。威圧的な男性は怖いと思うし、触れられるのはもっと怖い。
でも、翔さんだけは違った。手を触れられても抱きしめられても怖くない。緊張はするけど、一度も怖いと思った事はない。

「今日はもうずっとこうしていようか。」
そう言って翔さんが笑う声が耳に響く。

「せっかくなので水族館に行きたいです…。」

「そうだな…仕方ない行くか。」
そう言ってやっと解放してくれる。

「本当に今日帰るのか?明日にすれば?」
歩きながらそんな事を言うから困ってしまう。

「お仕事しないと兄に怒られちゃいます…。」

「お兄さん電話大丈夫か?」
あっ、忘れてた。と、スマホをカバンから取り出す。

「電話、来てました。後で、かけ直しておきます。」
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