俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
入ってすぐのトンネル水槽エリアはちょうど餌やりタイムで、人が集まっていた。

先に他を見ようと人混みを歩く。
翔さんのcafeがある事を知って、気持ち少し離れて歩く。
ずっと朝から手を繋いで歩いていたせいか、少し離れるだけで不安になってしまう。

翔さんの背中を追いかける。

そんな私を不思議に思ったのか翔さんが振り返り、手を差し伸べてくる。

「果穂?はぐれると行けないから手貸して。」
そう言って強引に手を繋いでくる。

「妹さんとは何時に待ち合わせなんだ?」

「えっと、12時半に翔さんの一号店のcafeです。」

「うちのcafeに来るのか。
俺も午後からあそこで新しい店舗の打ち合わせなんだ。」

「えっ⁉︎そうなんですか?
じゃあ、違う所へ行った方がいいですよね。」

「別に気にしなくていい。ギリギリまで一緒に居られるな。」
そう言って笑う。

「そうですね…。」
後、一緒に居られるのも1時間ちょっとだと思うと、急に寂しくなる。

しばらく2人無言で寄り添い歩く。

「果穂といると仕事で逆立ってた心が浄化されてく気がする。この空間もだけど果穂が隣に居るからなのかな。果穂と話してるだけで癒される。」

「そうですか?少しでもお役に立っててるなら嬉しいですけど。」

「役に立ってるどころか、もう果穂なしでは生きられないな。」
< 81 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop