Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜
近くを歩いていたホールスタッフから白ワインのグラスを受け取った芹香は、ゆっくりと壁際に歩いて行き、息を吐きながらもたれかかった。
彼といると気を張ってしまって、普段よりどっと体力が失われていく。早く戻らねばと思いながらも、なかなか体が動かなかった。
息を吐きながら天井に煌めくシャンデリアを見つめ、先ほど誠吾に言われた言葉を思い出しながら、肩の荷が一つ下りたような気持ちになる。
本当に私のせいではないのかしら……だとしたら私は引け目を感じなくていいということ? ──その時突然肩を叩かれ、驚いた芹香は勢いよく振り返った。
するとそこには父の会社の広報部で働く、従兄弟の太一がニヤニヤしながら立っていた。
「なんだ、太一くんか……」
「なんだとはなんだよ。何お前、今日は明智さんと一緒なの?」
副社長の長男である太一は芹香と同い年だったが、小さい頃からあまり気が合わず、一緒に過ごすことはほとんどなかった。
ただ同じ会社に同期入社したこともあり、近頃は絡むことも増えてきていたが、それでも芹香の中の苦手意識は消えることはなかった。
「そうよ。今日は明智さんのサポート役なの。じゃあもう行くから」
「ちょっと待ってよ。サポートって何?」
その場を去ろうとしたが、あまりにも強く手首を掴まれ、身動きが取れなくなる。その途端、芹香の頭に誘拐された瞬間がフラッシュバックのように蘇ってきたのだ。
強い力で掴まれ、口を塞がれてから車に連れ込まれたことを思い出して恐怖心に襲われる。体に震えが走り、悲鳴をあげそうになるのを唇を噛んで堪えた。
「やめて!」
その反応に驚いた太一が慌てて手を離す。芹香は彼から距離を取るように一歩退いた。
「わ、悪かったよ」
怯んだ太一を、芹香はキッと睨みつける。そして震える手で心臓を押さえながら、大きく深呼吸をしながら呼吸を整える。
「私のことはあなたに関係ないでしょ! 放っておいて!」
芹香はそう言い放ち、誠吾のいる方へ視線を移したが、女性と話しているのを見つけて胸が苦しくなる。
何よ……そばから離れるなって言ったくせに、私がそばから離れたって平気で女性を侍らせてるじゃない……! ──どうやったって関係ないなんて言い切るのは無理だった。
一体何度諦めたと自分自身に思い込ませようとしただろう──しかし彼のそばにいると、好きという感情を意識するだけだった。
溢れてしまいそうになる涙をグッと堪えていると、太一が再び手を伸ばして芹香に触れようとする。
「な、なぁ、芹香……」
「やめてって言ってるでしょ!」
芹香は太一から逃げるように、会場から飛び出した。
彼といると気を張ってしまって、普段よりどっと体力が失われていく。早く戻らねばと思いながらも、なかなか体が動かなかった。
息を吐きながら天井に煌めくシャンデリアを見つめ、先ほど誠吾に言われた言葉を思い出しながら、肩の荷が一つ下りたような気持ちになる。
本当に私のせいではないのかしら……だとしたら私は引け目を感じなくていいということ? ──その時突然肩を叩かれ、驚いた芹香は勢いよく振り返った。
するとそこには父の会社の広報部で働く、従兄弟の太一がニヤニヤしながら立っていた。
「なんだ、太一くんか……」
「なんだとはなんだよ。何お前、今日は明智さんと一緒なの?」
副社長の長男である太一は芹香と同い年だったが、小さい頃からあまり気が合わず、一緒に過ごすことはほとんどなかった。
ただ同じ会社に同期入社したこともあり、近頃は絡むことも増えてきていたが、それでも芹香の中の苦手意識は消えることはなかった。
「そうよ。今日は明智さんのサポート役なの。じゃあもう行くから」
「ちょっと待ってよ。サポートって何?」
その場を去ろうとしたが、あまりにも強く手首を掴まれ、身動きが取れなくなる。その途端、芹香の頭に誘拐された瞬間がフラッシュバックのように蘇ってきたのだ。
強い力で掴まれ、口を塞がれてから車に連れ込まれたことを思い出して恐怖心に襲われる。体に震えが走り、悲鳴をあげそうになるのを唇を噛んで堪えた。
「やめて!」
その反応に驚いた太一が慌てて手を離す。芹香は彼から距離を取るように一歩退いた。
「わ、悪かったよ」
怯んだ太一を、芹香はキッと睨みつける。そして震える手で心臓を押さえながら、大きく深呼吸をしながら呼吸を整える。
「私のことはあなたに関係ないでしょ! 放っておいて!」
芹香はそう言い放ち、誠吾のいる方へ視線を移したが、女性と話しているのを見つけて胸が苦しくなる。
何よ……そばから離れるなって言ったくせに、私がそばから離れたって平気で女性を侍らせてるじゃない……! ──どうやったって関係ないなんて言い切るのは無理だった。
一体何度諦めたと自分自身に思い込ませようとしただろう──しかし彼のそばにいると、好きという感情を意識するだけだった。
溢れてしまいそうになる涙をグッと堪えていると、太一が再び手を伸ばして芹香に触れようとする。
「な、なぁ、芹香……」
「やめてって言ってるでしょ!」
芹香は太一から逃げるように、会場から飛び出した。