Better late than never〜失った恋だけど、もう一度あなたに恋してもいいですか?〜
1 消せない想い
芹香の誘拐事件から五年が過ぎた。あの日のことが幻であったかのように大学生活は充実し、何事もなく平和な日常を送っていた。
ただ芹香には一つだけ悩みの種があった。芹香の両親が度々開くホームパーティーに、誠吾を必ずと言っていいほど呼ぶのだ。そのたびに二人は何度も顔を合わせたが、芹香の中の癒えない傷が壁を作り、他愛もない会話を交わすくらいに留まった。
必ず芹香の予定を確認してからパーティーの日程が組まれるため、断ることも出来ずに参加するしかなかった。
この日も家の庭でバーベキューをすることになり、招待されたメンバーの中にやはり誠吾がいた。紺色のニットの下に白いTシャツ、ベージュのチノパンという爽やかな出立ちに、柔らかな笑顔がとてもよく似合う。
その姿を見るたびに胸が切なくなる。失恋の痛みと、今も彼を想うどうしようもない気持ちに胸が締め付けられた。
芹香はなるべく準備をする母の手伝いをしたり、飲み物を配ったりして、わざと忙しく動き続ける。そうすれば彼と関わらずに済むし、この感情を忘れることが出来たから。
「まさか明智くんが警察を辞めるとは思わなかったよ。あんなに憧れていた職業だったのに」
「そうですね。私自身も驚いてます」
「キャリア組みだったのにもったいないですよ。でも今の会社も順調なんですよね?」
「まぁぼちぼちというところですかね」
誠吾の話になり、芹香は思わず聞き耳を立てる。彼が苦笑したのがわかり、父と兄を睨みかけて慌てて下を向いた。
あの事件の後に彼が警察を辞め、元々得意分野としていたネットのセキュリティ会社を友人と共同経営という形で設立したのは、皆に衝撃を与えた。とはいえ今は会社の社長として日々忙しく過ごしているようだった。
誠吾が警察を辞めたことに、自分のことが関係しているような気がしていたため、心のどこかで罪悪感を抱いていた。だが彼の活躍の話を聞くと、それだけで安堵した気持ちになる。
ただ芹香には一つだけ悩みの種があった。芹香の両親が度々開くホームパーティーに、誠吾を必ずと言っていいほど呼ぶのだ。そのたびに二人は何度も顔を合わせたが、芹香の中の癒えない傷が壁を作り、他愛もない会話を交わすくらいに留まった。
必ず芹香の予定を確認してからパーティーの日程が組まれるため、断ることも出来ずに参加するしかなかった。
この日も家の庭でバーベキューをすることになり、招待されたメンバーの中にやはり誠吾がいた。紺色のニットの下に白いTシャツ、ベージュのチノパンという爽やかな出立ちに、柔らかな笑顔がとてもよく似合う。
その姿を見るたびに胸が切なくなる。失恋の痛みと、今も彼を想うどうしようもない気持ちに胸が締め付けられた。
芹香はなるべく準備をする母の手伝いをしたり、飲み物を配ったりして、わざと忙しく動き続ける。そうすれば彼と関わらずに済むし、この感情を忘れることが出来たから。
「まさか明智くんが警察を辞めるとは思わなかったよ。あんなに憧れていた職業だったのに」
「そうですね。私自身も驚いてます」
「キャリア組みだったのにもったいないですよ。でも今の会社も順調なんですよね?」
「まぁぼちぼちというところですかね」
誠吾の話になり、芹香は思わず聞き耳を立てる。彼が苦笑したのがわかり、父と兄を睨みかけて慌てて下を向いた。
あの事件の後に彼が警察を辞め、元々得意分野としていたネットのセキュリティ会社を友人と共同経営という形で設立したのは、皆に衝撃を与えた。とはいえ今は会社の社長として日々忙しく過ごしているようだった。
誠吾が警察を辞めたことに、自分のことが関係しているような気がしていたため、心のどこかで罪悪感を抱いていた。だが彼の活躍の話を聞くと、それだけで安堵した気持ちになる。