僕の特技は秘密です
帰宅すると、お父さんの
「椿、ちょっといいか?」があった。

今度は一体なんだろう。大抵いい話ではないこのフリに何度聞いてもドキッとする。

「今度はどうしたの??おばあちゃんの転所先でも決まった??」

「あぁ、そのことなんだが…。村長と話しをしていてなぁー。」

「大ちゃんのお父さんと?」

「そうなんだ。お前が大吾くんの嫁になるなら身内としていい施設に入れるらしいんだが…。お前、大吾くんなら大丈夫だよな?」

「はぁっ!?まさかお父さん、OKなんかしてないよねっ??」

「…あはは。」

「なんでそんな話を勝手に決めちゃうの??大ちゃんだって私が嫁じゃ迷惑でしょ!?」

「いやぁ…。村長の息子さんだし、子供の頃からの付き合いで気心知れてるし、問題ないだろ?」

「問題ありまくりよっ!!親が勝手に娘の結婚を決めてくるなんて一体何時代の話をしてるのよ!」

「そんなこと言ったって…。お婆ちゃんの施設を手配してくれるからって言われたもんで…。」

「それで娘に確認もせずに決めちゃうの!?」

「ほら、父さんも一応、親だしな?大丈夫だろ?」

「どっからどう見ても大丈夫じゃないよっ!もうすぐ受験なのに。お父さんのバカ!大っ嫌い!!!」

「大吾くんと結婚すれば受験しなくてもいいんじゃないか?子供を産んで専業主婦になれば学歴なんて関係ないだろ?」

「私の未来を勝手に決めないでっ!」

話の通じないお父さんを無視して自分の部屋に閉じこもった。
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