ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする

勝負の日

7:00

会社に出勤すると、既に2人ほど出勤していた。

「おはようございます。」

と、挨拶をすると、隣の課の課長が、

「おはよう。あれ?今日は早いね。」

と、言った。

「はい。プレゼンの準備があって。」

「なるほど。頑張ってね。」

と、言ってくれた。

「はい!ありがとうございます。」

なんだか急に気合が入ったような気になり、急いで自分のデスクに向かい、
誤字脱字、間違いがないかチェックをしてから、配布用の資料を印刷し始めた。

相手企業には10部用意するよう言われているので、10部+2部(自分の分と部下の分)+予備3部の
合計15部用意した。

印刷が終わった順に、順にホッチキスで留めていく。


全部終わると、契約書の準備にとりかかる。

なぜ契約書が後回しになったかというと、今まで一度も契約出来たことがないからだ。

大手ゲームソフトの会社、ベリーズソフトは、他のゲームやキャラクター
に関しては、コラボなどたくさんしてきたが、世界的に爆発的なヒットを飛ばした「ゲームオブベリーズ」だけは、
コラボが実現していない。それはうちの会社だけでなく、他社も同様だった。「ゲームオブベリーズ」の開発者、
東堂冬英(とうどうかずひで)が、首を縦に振らないからだと言われている。
実際、今まで、過去2回、プレゼンをさせてもらったが、2回とも東堂さんは不在だった。
当然本人のOKが出るはずもなく、契約には至らなかった。
今回は3度目の挑戦である。ベリーズソフトの代表取締役兼担当者の佐野さんは、いつも親切で親身になってくれてはいるが、
こと東堂冬英に関してだけは、佐野さんでもどうしようもなく、若葉の直属の課長からも、
今回で最後の挑戦にしろと言われている。だからどうしても、今回で契約にこぎつけたい。
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