ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする

紛失

プルルルル

若葉が部屋で出勤準備をしていると、若葉の携帯に木下から着信が入った。

「木下です。明日から東京に行きます。婚姻届はご記入いただけましたか?」

「まだですが、記入しておきます。」

「お願いします。明後日に受け取りに行きます。時間は追ってご連絡いたします。」

「はい。」

若葉は電話を切ると、バッグから婚姻届を出そうと手を入れた。

「あれ?たしかここに・・・。」

婚姻届が見つからない。若葉はバッグを広げ、中身を出し始めた。

全て中身を出し終えたが、婚姻届の入った封筒が見当たらなかった。

「・・・ない。どうして・・・。」

若葉は記憶をたどり始めた。

「あ、あの時だ!」

若葉は、東堂の家で、バッグの中身をぶちまけたことを思い出した。

「うそ・・・どうしよう・・・。」

若葉は一瞬で顔面蒼白になった。

一番見られたくない人、知られたくない人のところに忘れてくるなんて。
しかも明後日までに必ず返してもらわないといけない・・・・。
必然的にまた冬英さんと会わなければならなくなる・・・。
もう、見られてしまっているだろうか・・・

若葉は憂鬱な気持ちを抱えながら、家を出た。
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