ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
今日は、また、ベリーズソフトの本社に打合せに行く日だった。

「河合さん、もしかして体調悪いですか?」

と、坂本君が、若葉の表情を見て言ってきた。

さすが、モテる男は女性の顔色にすぐ気づく。

と、若葉が思っていると、

「あの、僕一人でも大丈夫ですよ?」

と、心配そうに言ってきた。

そんなにひどい顔をしてるのかしら???

「大丈夫。ごめんね。ほんとに平気だから。」

と言った。

「何かあったらすぐ言ってくださいね。
フォローしますんで。」

「ありがとう。坂本君。」

若葉は、坂本君の成長ぶりに少しうれしくなった。

これなら安心して引継ぎ出来る。

ベリーズソフト本社に着くと、今日の打合せは、東堂だけでなく、
佐野も欠席していた。
おかげで、若葉は、緊張もなく、いつも通り、仕事を進めることが出来た。

打ち合わせが終わり、若葉が坂本君と会議室を出ると、佐野の秘書らしき女性が、

「河合様、この後、佐野が少しお時間を頂きたいと申しているんですが。」

「あ、はい。大丈夫です。」

と若葉が言うと、

「じゃ、僕も。」

と、坂本君も一緒に行こうしたが、

「申し訳ありません。河合様だけと言われておりますので。」

と、秘書に坂本君が同席することをやんわりと断られてしまった。

若葉も、

「ごめん個人的なことかも。」

と言った。

「分かりました。じゃあ、先に会社戻ってますね。」

と坂本君はそう言って、エレベーターに乗り込んだ。
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