ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする


その後、二人はルームサービスで、豪華なブランチを取りながら、
今後について話し合った。

若葉は東堂の顔色を窺いながら切り出した。

「あの、出来ればお付き合いしていることは秘密でお願いしたいんですが。」

「どうして?」

若葉の発言に東堂は驚いた表情を浮かべた。

「仕事に支障をきたす可能性が。企画が通ったこととか、変に
誤解されても困りますし。」

「付き合うことになったのは企画が通ってからなんだけどな。」

「他の人には私たちの時系列は分かりませんから。」

「確かにそうだね。若葉さんがそう言うなら不安分子は取り除いておきたいし。
分かった。秘密にしよう。でも、佐野だけには報告しておきたいんだけどいいかな?」

「佐野さんですか。」

「うん。あいつは仕事の相棒でもあり、古くからの友人でね。彼の協力があれば
周囲に気づかれることはまずないよ。」

「佐野さんのこと、とても信頼してらっしゃるんですね。」

「ああ。僕が顔出しせずに済んでるのも彼のおかげなんだよ。」

「確かに。東堂さんの情報、流出したことないですよね。私、
実際に東堂さんにお会いするまで、あのゲームはもっとおじさんが
作っていると思ってました。お若くてびっくりしました。」

「あのソフトは学生の時に作ったからなあ。それを佐野が気に入って売り出そうって
なって。会社を立ち上げたんだ。」

「佐野さんってすごい人ですね。」

「ああ。お前は好きなゲームだけ作っていればいいって言って。
今の俺があるのは佐野のお陰なんだよ。」

「そうだったんですね。そんなすごい方が味方にいれば
安心ですね。じゃあ佐野さんにだけということで。」

「うん。ありがとう。」


2人はまだまだ一緒にいたかったが、若葉がさすがに二日も家を空けるのは
心配だということで、食事を終えると、翌日の日曜にまた会う約束をした。
東堂がタクシーで家まで送ってくれた。
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