ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
2人はそれぞれ、ワンハンドで食べられそうな店を選ぶと、若葉はアボカドのケバブサンドとジンジャーエールを、
東堂は牛ヒレサンドとコーラを購入すると、イートコーナーではなく、メインの通りから
少し外れた大きな木陰で、食べることにした。
若葉は、

「いただきます。」

と言ってから、大きなケバブサンドをほおばった。

「ん!美味しい!」

と、思わず声が出た。

「そうなんだ。」

と、東堂が言うと、若葉はつい友達同士のノリで、

「一口食べます?」

と、東堂の顔の前にケバブサンドを差し出した。

東堂は、何も言わずに、ケバブサンドを持っている若葉の両手を、自身の大きな手で包み込むと、
そのままガブリとケバブサンドを食べた。男らしい食べ方だったが、随所に色気が溢れていた。

「うん。美味しい!」

若葉は手を握られるとは思っておらず、突然のことに驚き、
東堂の仕草に顔を赤らめながら俯いた。その様子を目の当たりにした東堂は、

「抱きしめたくなるから、そういうのやめてくれるかな。」

と照れながら言った。

「だっ抱きしめ??」

若葉は目を丸くし、さらに顔を赤らめながら大きく動揺する。

「若葉さん、その・・・僕たちはもう恋人同士なんだし、ある程度のことは許容してほしいんだけど。」

「も、もちろんです。」

「じゃあ、僕の言動やスキンシップにいちいち驚かずに慣れていってください。」

「・・・はい。」

と、若葉が返事をすると、東堂は若葉と肩と肩がぶつかるくらいに隙間を埋めるように座り直し
た。
若葉は再び驚いたが、驚いたことがバレないよう何でもないような素振りをした。
東堂はそれを分かってか、

「あの、これくらいじゃないんで。僕、好きな人には触れていたいタイプなんで、覚悟しといて
ください。」

と言って、若葉の方を見てニヤリと微笑んだ。
若葉はドキリとしたが、

「・・・はい。」

と言って、持っていたドリンクのストローに口をつけ、ゴクリと飲んだ。


< 48 / 128 >

この作品をシェア

pagetop