ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
翌朝

若葉は朝食を食べ終わるとすぐに自室に戻り、帰り支度を始めた。
1泊だけだったので荷物も少ない。
ボストンバッグに荷物を詰め終わると、

「あ、そうだそうだ!」

と言って、和テーブルの上に置いたままだったボイスレコーダーを手に取った。

「警察には出さないとしても、はるか(経営コンサルタントの友人)には聞いてもらった方がいいわよね。」

と言うと、若葉は何気に再生ボタンを押した。

しかし、ブチっと止まる。

「あれ?」

録音した音声が聞こえるはずなのに。若葉は、すぐに巻き戻しボタンを押したが、
巻き戻しボタンも反応しない。

まさか・・・音声が消去されてる・・・。

若葉はドキリとした。

このボイスレコーダーの存在を知っているのは、私と母と姉3人。
おそらく、私がお風呂に言ってる間に、母か姉のどちらかが
消去したのだろう。警察はだめだと頑なに言っていた母の可能性が
高い。

若葉は、空のボイスレコーダーを鞄に突っ込むと、部屋を出て、
何事もなかったかのように、実家を出た。


< 74 / 128 >

この作品をシェア

pagetop