ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
若葉は、実家の自分の部屋のベッドの上でごろんと横になった。

携帯がブブっと鳴り光った。

見ると、東堂さんからメッセージが1件入っていた。

 
 今日、会えますか?

メッセージを見るなり、若葉は、東堂さんに伝えるの忘れていたことに
ハッとした。
とにかく会社に迷惑はかけられないと、そのことばかりに気を取られていた。

若葉は急いで、返事をした。

母が倒れたので・・・。

と入れかけたところで、いや、これだと逆に心配させてしまうかもしれない・・・。
若葉は、途中まで書いた文章を消して、入れ直した。

すいません。しばらく会えそうにありません。
落ち着いたら連絡します。


と、返信した。

若葉は左手薬指に輝く指輪をじぃっと眺めてから外すと、箱に閉まった。

そして両手で顔を覆い隠した。

指輪、返さなくちゃ。楽しい時間は終わったんだから。

手と顔の隙間から、涙があふれるように流れていった。

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