先輩、お久しぶりです

「そういうお前はどうなんだよ」


 急に棘のある言葉で聞いてきた先輩。
 私もちゃんと説明しないとフェアじゃないのは分かってるけど、この先輩の目つきを見ると……言いにくい。


「就職と同時に、別れました。転勤した先で知り合った彼女と今度結婚するそうです」

「好きだったのか?」

「……それなり、には。でも転勤に着いていくほど好きじゃなかったのかもしれません」


 私はカップの底に残ったコーヒーを見つめながら呟いた。


 今ではいい友達としての仲だけど、当時も嫉妬や未練と呼べるものはほとんど無かった。
 だから好きだったといっても、本気で追いかけていきたいほど好きになってなかったんだと、今なら分かる。


 先輩はそれを聞いて机を指でトントンしながら頬杖をついている。何かイラついてる雰囲気で、機嫌が悪そう。


「それでもお前が誰かと付き合ってたと思うと、いい気はしないな」

「!?」


 ま、またそういうこと言って。
 予想してなかったことばかり言われると、この状況に耐えられなくなる。


「わ、私そろそろ帰りますね」


 ガタッと勢いよく椅子から立ち上がって、近くにあった鞄を持ち上げた。


「もっとゆっくりしてけよ」

「いえ、あまりお邪魔してるのも悪いので」

「明日も休みだし、お互い気兼ねする相手もいないし無理して帰らなくてもいいだろ」


 そういう問題じゃない。ここにいるだけで動悸が激しくてうまく笑えなくなりそうだから早々に退散しようと思っただけなのに。


 ていうか、気兼ねしない相手がいないのはお互い様でしょ! と言いたくなる。


「まだ陵介たちに贈る品物決まってないし、今日みたいに歩き回るより事前にリサーチしてから見て回る方が早くないか? だから、今からパソコンで検索して決めよう」

「……は?」
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