恋の♡魔法のチョコレート
「…でも、今日はそんなことを言いに来たんじゃないから」

スッと持っていたチョコレートで作ったバラの花束を琴ちゃん先生の前に差し出した。

「…これがもう最後」

「最後…?」

「琴乃にはもう作らないよ」

あのチョコレートに何を込めたのか、それはやっぱり小鳩にしかわからない。

だけど、そんなの言わなくっても琴ちゃん先生なら。

「もう琴乃には魔法のチョコレートは必要ないでしょ?」

“魔法みたいだね”

何気ない一言が、小鳩にとってどれだけ大きかったか。

その笑顔の意味を知った時、どれだけ悲しんだか。



でも今小鳩は笑ってる。 



「結婚おめでとう、琴乃。幸せになってよ」

琴ちゃん先生の潤んだ瞳からぽろっと涙がこぼれた。

「ありがとう…」

一度溢れた涙は次々と瞳から流れ、私の瞳まで伝染したかのように熱くなった。

「結都、幸せになるから」



小鳩が笑ってる。


いっぱいいっぱい笑ってる。


嬉しそうで、楽しそうで、子供みたいに。


琴ちゃん先生と一緒にチョコレート作っていた時、そんな顔してたのかな。



私、小鳩の笑ってる時好きだよ。





笑てってよ、私の前でも。
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