恋の♡魔法のチョコレート
「そ、そらぴょんっ!待って!!」

止まりそうにない足を止めるには声を出すしかないと思った。強引な手も離してくれそうになかったから。

「あ、疲れた?」

「え?」

「俺も疲れたー、俺走るの好きじゃないんだよねー」

「へぇ、そうなんだぁ…」

いや、何それ何なのそれ。

ピタッといとも簡単に走るには止まったけど、会話は全く掴めない。この行動も全く掴めてないのに。

「えっとー…」

「あ、ごめんね!無理矢理連れて来ちゃった!」

じぃっと掴んでいた手を見つめるとすぐに離してくれた。
にぱっと微笑んで、マスコットみたいに可愛い表情をして。

「あのー…小鳩の友達?」

さっき“ゆいぴー”って呼んでた。
それが気になって、ずっと頭の中で連呼されてた。

小鳩に友達いたんだ、失礼だけど…

「全然!クラス一緒なだけ!」

「……。」

人類みな友達タイプかな?
小鳩もあれだけど、そらぴょんもまぁまぁあれだね?

「キミもチョコ研入りたいんでしょ?」

「え、うん…っ」

キミもってことはそらぴょんもってこと…なのかな。

困惑する私の手をぎゅっと両手で握った。

「俺も入りたいの!」

そらぴょんの声は大きくて廊下中に聞こえるんじゃないかと思った。

廊下の真ん中で、そんなキラキラした目で私を見ても…私もただの入部希望者、しかもやましい気持ち100%で入部しようと思ってる私に言われても何もできないんだけどなぁ。

「だから一緒にがんばろ!」

「がんばる?」

「チョコ研、入りたいでしょ!」

入りたいって思ってたし、これが一番の近道かなって考えて結果だったんだけど、こんな空色の髪をしたふわふわ男子と手を組むことにはなるとは思ってなかった。

「打倒・小鳩結都!ゆいぴー倒してチョコに研入ろう!」

「………えっ!?」
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