結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています

「……杏花は俺をパパだと認めてくれたみたいだが。菫花(すみれ)、君はまだ違うと言い張るのか？」

「そ、そんなの、偶然です！」

なにも知らない杏花が父親を理解するわけがない。たまたまだ。

それとも――パパが現れるのを待っていたとでもいうの……？

保育園のクラスメイトたちを見て、自分にも父親がいる、いつか迎えに来てくれる、そう信じていたとしても不思議ではない。

「杏花には父親が必要だと思う。娘の幸せを願うなら、素直に俺の手を取るべきじゃないのか」

「理仁(りひと)さん……」

久しぶりに紡いだ彼の名が愛おしくて、胸がぎゅっと押し潰されそうだった。