尖っているラテン男、エクソシストになる〜combattere〜
ふわりと莉愛は笑う。刹那、暗闇に一筋の光が差し込んだような、嵐の後に空に虹が浮かんだような、荒れた大地に一輪の美しい花が咲いたような、美しい光景がガブリエルに頭の中に浮かぶ。

「お、おう……」

その言葉を言うのだけで精一杯だ。そんなガブリエルを見て、ルートヴィッヒとベジは笑っていた。



莉愛が悪魔に連れ去られた事件から約一ヶ月。ガブリエルの毎日は大きく変わった。

「ガブリエル、ルートヴィッヒ、莉愛、ベジ、悪魔がまた出たみたい!」

フェリシアーノが言うと、訓練をしていた四人は手を止めてフェリシアーノを見つめる。

「よし、行くぞ!」

ルートヴィッヒが言い、莉愛が「はい」と言いながら刀を取り出す。ベジも祓いに行く準備をし、ガブリエルはフェリシアーノに訊ねた。

「どこに出たんだ?」

「実は、観光地に出たんだよね。他のエクソシストが観光客は避難させているけど、あんまり時間はかけられないかも」

未だに人を簡単に信じることはできない。だが、エクソシストとなった仲間のことは信じてみたい、そう思いながらガブリエルは毎日を過ごしている。

「ガブリエルさん、行きましょう!」

莉愛に笑顔を向けられ、ガブリエルは頷きながら教会を出る。風が四人の髪を撫でていった。
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