悪役令嬢の姉に転生した枯れ専女子はイケおじにしか興味がない!〜あと三十年経ってから出直してきなッ!!!〜

第一章 ヴィクトリア、覚醒編

「す、すまないがヴィクトリア。君との婚約をっ、解消して欲しいんだ」

「…………何故でしょうか」

「僕は、君の妹であるエルジーを好きになってしまったんだ!」

「ーーーーッ!?」


この時、今まで何にも興味がなかったヴィクトリア・バリソワは、妹のエルジーに対して強烈な憎しみを抱いた瞬間ーーー。

頭に何かの記憶が流れ込み、ヴィクトリアは動きを止めた。
珍しく困惑しているようにも見えるヴィクトリアを見て、エルジーの唇が大きく弧を描いているのを他人事のように見ていた。

(わたくしは……ヴィクトリア。え……?どうして私がヴィクトリアになっているの……?)

そのまま時間が止まったようにヴィクトリアは動かない。
だが、頭の中ではヴィクトリアの記憶が駆け巡っていた。

婚約者のジェイコブ・コルシェ・シュルベルツはこのシュルベルツ王国の第三王子だった。
栗毛の癖っ毛とサファイアのような青い瞳……小柄で可愛らしい彼と婚約した理由は、親同士が決めたものだった。

バリソワ公爵家に生まれてから、厳しい両親のもと淑女としてのマナーや社交、そしてバリソワ公爵家を継ぐための知識を幼い頃から叩き込まれた。
そしてヴィクトリアは両親の期待に見事に応えてみせた。
< 1 / 233 >

この作品をシェア

pagetop