愛されることに 慣れていなくて

★君じゃない君

車を飛ばしマンションへと急いだ。
玄関に彼女の靴があるのを確認し安堵するも、リビングに彼女の姿はない。

部屋だろうかと、彼女の部屋をノックする。
返事がない。

「菜々子、居るのか?」

「……」

「菜々子、入るぞ」

そっとドアを開けた。暗闇の中、彼女はベッドの上で膝に顔を埋めていた。

「菜々子、電気つけるぞ」

照明のスイッチを入れ、彼女の前に腰を下ろす。

「遅くなってごめんな」

「隼人さん」顔を上げた。

「早く私を追い出してください」

「ダメだ。言っただろう、俺は絶対言わないって」

「……」

「もう私を解放してください」

「解放ってなんだ」

「私はただの住人ですから、早く契約解除して解放してください」

「それはもういい、もういいんだ」

「よくありません。お願いします」

「この家から出て行くことは絶対に許さない」

「そうですか……では、旅行に行ってもいいですか?園の終業式が終わったら、そのまま旅行に行ってもいいですか?」

「それは構わなが、俺は菜々子と一緒に居たいんだがな」

「すみません」

「どこに行くんだ?俺も行こうかな」

「すみません、プライベートなことなので言えません」

「菜々子、何を言っているんだ?プライベートってなんなんだ?」

「隼人さん、もう遅いので、休んでください。私もそろそろ寝ますので」



「わかった」

俺は部屋を出た。

プライベートって一体なんなんだよ……
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