愛されることに 慣れていなくて
助手席に座り、運転する彼の横顔を見つめる。見惚れてしまうほどかっこいい。ずっと見ていたいと思う。

園を出た時の先生たちの反応を思い出して、クスッと笑ってしまった。まさかあんなところに、こんなかっこいい人がフォーマルスーツを着て立っているなんて思わなかっただろうから。

「菜々子、何がおかしいんだ?」

「いいえ、何でもありません」

「今、笑っただろ?」

「内緒です」

「ずるいな」

「お互い様です」

彼は前を見据えながら微笑んだ。


駐車場に車を止めた彼は、私の手をとり、ガラス張りのヘアサロンの前へやって来た。

「は、隼人さん、ここは美容室ですが…」

「そうだ」

彼は悪戯っぽく笑い、私の手を握ったまま自動扉をくぐった。
< 147 / 185 >

この作品をシェア

pagetop