愛されることに 慣れていなくて
彼は私に近づくと胸ポケットから名刺を取り出し、スッと差し出した。
一連の動作が洗練されていて色っぽく、ドキッとしてしまう。


   久我山ホールディングス株式会社

    グループ経営戦略室
     統括本部長 久我山 隼斗
         Hayato Kugayama


「久我山ホールディングス⁉︎ あ、あの久我山ホールディングスですか⁉︎ 」

「ああ、そうだ」

「統括本部長⁉︎」

「そうだ」

「お名前が久我山と記載されていますが、もしかして…」

「会長は祖父。社長は父親だ」

「なんと…」

久我山ホールディングスといえば、国内でもトップクラスの総合商社だ。鉄道、運送、都市開発、更にはグローバルネットワークと幅広く事業を展開している。ここ周辺の再開発事業を担っていたのも久我山ホールディングスだ。

もちろん、事業の中にはマンションの設計施工販売も含まれる。そして私が借りているアパートの管理も、部屋を探してもらっている不動産屋も久我山ホールディングスのグループ会社だ。

目の前にいるこの人は、とんでもない御曹司ではないか!

なんだか頭がクラクラして来た。
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