愛されることに 慣れていなくて
和やかな雰囲気の中、その雰囲気を割くように、ガラガラと扉が開いた。

私の身体が硬直する。

「親父!」

「康介さん」

彼の手には花束が握られていた。
大将と花さんの前に立ち「この度は25周年、おめでとうございます」花束を花さんに手渡し「それでは、失礼いたします」と踵を返した。

「待って、康介さん」

彼が立ち止まる。

「こちらにお掛けになって、貴方の好きなネタもあるのよ。ぜひ食べていって」

彼は再度大将と花さんの元へ歩いていく。

「正和さん、花さん、これからも隼人のことを頼みます」

そして私の前に立った。
座っていた私は椅子から立ち上がり頭を下げた。  

「菜々子さん、先日は不愉快な思いをさせてしまい、申し訳ない。隼人を頼みます」

そして早水さんにも

「早水、これからも隼人を支えてやってくれ」

「かしこまりました」

「では、失礼します」

彼はそのまま店を出ていった。

「一体どういうつもりだよ!」

隼人さんが後を追おうとしたところを花さんが止めた。
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