愛されることに 慣れていなくて

♡ 動き出す運命

変な人がいないかどうか気にしながらホテルへ向かって歩いてると、一台の車が私を通り越し停車した。あれは漆黒の高級セダン。御曹司の車だ。私は思わず俯いた。

案の定、車から降り近づいてくる。
ピカピカに磨き上げられた靴を履き、高級スーツを纏った長い脚が私の目の前で止まった。

「何をやっている」

私は上目遣いに彼を見た。

「かくれんぼでもしていたか?見つかってしまったような顔だな」

「あ、あのぉ…」

「何だ」

「今日はホテルに泊まろうかと…」

「ホテルだと?意味がわからないな」

「やはり無理です」

「何が」

「落ち着かないといいますか、何といいますか…」

「落ち着かない?居心地が悪いということか?」

「そう受け取ってもらって構いません」

「女性というのはタワーマンションに憧れを抱いているのではないのか?」

「そ、それは、大半はそうだと思います。私も憧れていましたし… でも、やはり人それぞれではないのかなと…誰もがそう思っているわけではないのかなと…」

「日向菜々子は憧れたいたんだな。だが、今は違うと?」

「こんな立場でこんなことを言うのは憚られますが…」

「何だ」

「自分で稼いだお金で住むだとか、心を許せる相手と住むだとか…あくまでも私の場合ですが」

「言い分はわかった。だが、日向菜々子の現状は、そうも言ってられない状況だよな」

「はい、そうなんです。なのでとりあえず今日のことろはホテルに泊まろうかなと…」
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