愛されることに 慣れていなくて
料理をダイニングテーブルに並べ終えたのと同時に彼の気配を感じた。
ハイブランドの黒いスウェット姿に、タオルで無造作に拭いたのであろう乱れた髪、オフに切り替わったラフな姿は、スーツを纏った姿とはまた違った色っぽさを醸し出している。
色気がありすぎて直視できない。

「美味そうだな」

「時間もなかったので、簡単なものになってしまいました」 

「簡単?これが簡単にできるのか?」

「え?は、はい、まぁ」

「食べていいか?」

「どうぞ」


彼は合掌し「いただきます」と、パスタを口に運んだ。
食べ方も品があって育ちの良さがうかがえる。

「美味いな」

私の顔を見てもう一度「本当に美味い」と微笑んだ。

クールな表情とは一変した柔らかい表情が少年ぽさを垣間見せる。
私は慌てて視線をずらした。ダメだ。やはり直視できない。
< 38 / 185 >

この作品をシェア

pagetop