愛されることに 慣れていなくて
マリネも一口食べ「これも美味な」と褒めてくれた。

「よかったです」

「日向菜々子」

「はい?」

「さっきから俺の顔を全く見ようとしないが、毒でも入れたか?」

「毒⁉︎そんなもの入れるわけないじゃないですか!」

「じゃあ、ちゃんと俺の顔を見ろ。視線が泳ぎすぎている」

「そ、そうですか?そんなはずはないと思いますが…」

心の中で無理無理無理無理と呪文のように唱えていると。大きくて綺麗な両手が私の顔を包み込んだ。

彼の顔が物凄く近くにある。

「顔が真っ赤だぞ。熱でもあるんじゃないのか?」

彼の額が私の額に重なった。

「熱いな。風邪でもひいたか」

「ち、違います。き、緊張、緊張してるんです!」

「緊張?」

「ち、近い、か、顔が近すすすすぎます」

「可愛いな」彼はクスッと笑った。

可愛い?私が?この人は私をおちょくっているのか?

「久しぶりだ」ぽつりと呟いた。

「え?」

「こんなに美味い食事は久しぶりだ」

憂いを帯びた顔がそこにはあった。

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