愛されることに 慣れていなくて
「私のクローゼット開けた?」

「開けてねぇよ」

「絶対?」

「あぁ」

「お金がなくなってるんだけど」

「え?知らねぇよ」

「そう、じゃあ泥棒が入ったのかな?」

「かもな」

「…」

私はスマホを手に取り電話をするフリをした。

「どこにかけるんだよ」

「警察」

「はぁ?」

「だって泥棒が入ったかもしれないんだよ!」

「やめろよ!やめろって!」

「何でよ」

「何でって… あ〜もう、ウザ!菜々子さぁ、ほんと母ちゃんみたいにうるさいんだよ!」

「は?母ちゃん?」

「俺、ちょっと出てくるわ」

「ちょっ、ちょっと真太郎!」

玄関の扉がパタンと無情な音を立てて閉まった。
その音は、私と真太郎の終わりを告げているようだった。
壁際の棚に目をやると、そこには真太郎に渡してあった合鍵が残されていた。

本当に終わりにしよう
そして引っ越そう

私は意を決して真太郎の荷物をまとめた。彼のボストンバッグと大きめの紙袋2枚に収まった。こんなに少なかったのかと苦笑いしてしまった。
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