愛されることに 慣れていなくて
車で行くとのことなので、二人で駐車場まで降りた。黒のセダンが止まっている方に行くかと思いきや、逆の方向へ進んで行く。

彼が鍵を操作したのか、白いSUV車のライトが点滅した。

彼が運転席側に向かっていると思い、左側の方に進もうとすると

「菜々子、そっちじゃない、こっちだ」

と手招きをされた。

「すみません」

彼がドアを開け待っている。
よく見ると左ハンドルだった。

彼に促され、右側にある助手席に座わる。
外車なんて初めて乗った。何という車種なのだろう。
カッコいいな。

「黒のセダンではないのですね」

運転席に乗り込んだ彼に訊く。

「あれは久我山家の車だ」

「仕事とプライベート用を分けているのですか?」

「まあ、そんなとこだな。俺にも好みというものがある」

「素敵な車です」

「菜々子からそう言ってもらえると嬉しいな」

「これからどこへ行くんですか?お寿司屋さんですか?」

「ああ、母の幼馴染がやっている寿司屋だ。
菜々子、ドライブだ。さあ、行こうか」

夜のドライブなんて経験したことがない。ドキドキする。彼の横顔を見て余計にドキドキしてしまった。
スピーカーから流れてくる洋楽が非日常へと導いてくれているようだった。
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