愛されることに 慣れていなくて

★ 奴の真実

部屋に戻った俺はスマホをチェックした。

ここに戻ってくるまでサイレントモードにしていたのだが、店にいる時、早水さんから着信があった。バイブレーションがすぐに止まったので、急用ではないと判断した。

俺が電話に出ることができない状況を察した時は、いつもショートメッセージを入れてくれている。

【男性の調査、終了いたしました。詳細は明日、ご報告いたします】




翌日の朝、車のドアを開ける早水さんの顔が緩んでいるのを指摘すると「そんなことはございませんが」と緩んだ顔で応える。

「菜々子様とドライブを楽しまれたようで何よりです」

この人は四六時中俺を見張っているのではなかろうかと思うことが多々ある。

けれどそれは、いつも俺を見守り続けている証ではないのだろうか。はたから見れば、理解し難い関係かもしれないが。

そして彼は俺の一番の理解者だ。孤独に耐えかねそうになった時も、何も言わず、花に連れて行ってくれた。

俺が彼女に恋をしていると知った時も、幼い頃の俺ではなく、一人の男として見てもらいたいという気持ちを汲み取り、一度彼女と話をしている彼は、意図的に姿を見られないようにしてくれている。

あれから既に22年が経ってはいるが、彼の容姿はほとんど変わっていない。彼女が彼の顔を見て、あの日のことを思い出す可能性があるからだ。

彼には久我山家や俺に尽くす人生だけで終わってほしくない。俺の他に守るべき人がいるのなら、その人のことを守り、幸せになってもらいたいと思っている。

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