謎多き旦那様の嘘、または秘密

食べる時に箸を持つこと、服を着ること、歯を磨く習慣、お風呂に入ること、体が覚えていて一人で出来る。

しかし、料理に関しては別だ。

包丁の持ち方こうだっけ、と不安しか無かった。

「君は料理が壊滅的にできない。きっと」

旦那様に断言された後、卵を渡される。

これなら割って良し、ということらしい。立ち上がり、キッチンに用意したボウルへと向かう。

えい、と割れた卵。本当に割れた。ぐちゃぐちゃに……。

「ひよこさん、ごめんなさい……」
「もう台所に立つな、と。ひよこが言っている」
「いつから黄身の通訳になったんです?」
「白身が激怒する前に早く手を洗え」

< 22 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop