野良狼と野良少女
「着替えてまいりました……あれ、一葉ちゃんとヤノくんは?」
「一葉は戻った。ヤノは先帰した。行くぞ」
わあ、今まで見た事ないくらい怒ってるかも…
「待って、制服返して来」
「あとでいい」
立ち上がって私を一瞥した旺太は手を握って店を出る。
そして無言のまま電車に乗り、無言のまま2人の家に帰るのだ。
怒ってるくせに、手は握るんだ。
「……」
とはいえ同棲してるわけで、帰っても一緒なわけだ。
お互い無言だと家全体全くなんの音もしなくなる。
いつもなら隣か旺太の足の間に座るソファも本日は旺太のみ。
気まずくて目すら合わせられず、とりあえず2人分のコーヒーを入れてカーペットに座る私。
お店を出てから1度たりとも目すら合わない。