この初恋に、ピリオドを
聞き込みでわかったことを総司が伝えると、「なるほど……。では、怪しいその三名を捜査しよう」と話が纏まっていく。数十分後、会議は解散となり、捜査官たちは被害者を恨んでいたと思われる人物のことを調べるため会議室を出て行く。

総司も防犯カメラのチェックなどを行おうと思い、会議室を出ようとした。その時、総司の肩を誰かが軽く叩く。振り返れば、そこには歳の割には体格のいい六十代ほどの男性が立っている。総司の上司に当たる人だ。

「降谷(ふるや)管理官、お疲れ様です」

「椿くん、君は他の捜査員とは全く違う。目の付け所がいい。非常に捜査員として優秀な男だ。こんな部下を持って私は非常に幸せ者だ」

降谷管理官は笑いながら総司の肩を何度も叩く。捜査に早く行きたいと総司は思っているが、上司を無下に扱うわけにはいかない。

「お褒めいただき、光栄です」

笑みを浮かべ、上司の機嫌を損なわないように頷く。決して媚を売りたいわけではないが、上司に好かれていて損をすることはないだろう。
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