課長に恋するまで
「そういうのは付き合う前に心配する事じゃないと思うんですけど」

 間宮がこっちを見る。

「そうなの?」
「そうですよ。付き合ってみて相性を確かめていくんですよ」
「そっか」
「その人の容姿、どんな感じですか?」

 昨日会った平野さんを思い出してみる。

「スーツが似合ってた。背が高いかな。課長ぐらい身長あった。体型は中肉中背って感じ」
「顔は?」
「うーん、普通の顔かな」
「つまり物凄いイケメンではなかったって事ですね」
「わかんない。よく覚えてないから。あ、眼鏡かけてたかも」
「先輩、あんまりその人に興味がなさそうですね」

 興味がないって言葉に婚活で出会った人たちが重なる。
 
 みんな同じ事言うんだよね。
 別に興味がないって訳じゃないんだけどな。

 ただ、これでいいのかわからないってだけで。

「でも、ある意味先輩の理想じゃないですか」
「理想?」
「よく言ってたじゃないですか。結婚相手は誰でもいいって。お見合いしてそれでいきなり結婚の方が性に合ってるって。恋愛なんていらないって」
「私、そんな事言ってた?」
「酔うといつも言ってますよ」

 全く自覚がない。
 だけど、言いそう。

 恋愛感情がわからないから、その方がいいと思っていた時もある。

「実を言うとね、私、恋愛感情がよくわからないの。だからそんな事言ってたんだと思う」

 間宮が不思議そうに眉を寄せた。
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