課長に恋するまで
 隣に座ったゆかりさんからはチェリー系の甘い匂いがした。甘いけど、品があって、今夜の着物と合ってる。
 ゆかりさんが可愛らしい笑顔を向けってこっちを見た。

「お飲み物は何を召し上がりますか?」
「ウーロン茶を頂いてるので大丈夫です」
「では、私も同じ物を頂きます」

 ゆかりさんが自分でグラスにウーロン茶を入れた。

「お話は二人だけの方がいいですか?」

 ゆかりさんに聞かれた。

「できれば」
「るみちゃん、外してくれる?」
「はい」

 るみ子さんが席を立った。ゆかりさんと二人だけになる。

「一瀬さん、奥の席へどうぞ」

 ゆかりさんに促されて、課長が座っていた場所に移動した。
 ゆかりさんとテーブルを挟んで向かい合った。
 正面から見たゆかりさんはやっぱり綺麗だった。るみ子さんも綺麗な人だって思ったけど、ゆかりさんの方が数段上って感じがする。
 落ち着いてて、品があって、綺麗で可愛くて、ゆかりさんは女性の魅力の全部を持ってる気がする。

 さすが銀座の高級クラブ。
 課長もゆかりさんの事を綺麗な人だって思ってるんだろうな。
 そんな事を思ったら、少しいじけた。
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