初めては好きな人と。
程なくして警察が来て多田野は連れていかれた。私と護からも事情を聞きたいと言われて警察署に同行することになり、脅されて強要されかけた結婚の話から待ち伏せされて暴力を振るわれそうになったことをなんとか説明した。
やっと解放されてアパートに帰り着いたころには、日付が変わっていた。
けれど、護の車から降りてアパートの前、足が動かなくなった。
もう多田野はいないのに。
足がすくむ。
動けないでいると、そっと肩に手が添えられて、隣を仰ぎ見れば護の心配そうな顔があった。
「…今日は、俺の家に来る?」
「でも…迷惑じゃ」
「迷惑なんかじゃない、美月なら一緒に暮らしたいくらいだよ」
「もう…、冗談言って」
こんな時まで冗談言って私を安心させようとしてくれるんだね。
「でも、やっぱり怖いから、今日は護の家に泊めてもらっても良い?」
「もちろん。必要なものはコンビニで買っていけばいいから、今日は帰って早く休もう」
護は、私を助手席に乗せると、慣れた手つきで車を発車させた。