あの頃からあなただけが好きでした

 修学旅行中の俺達は制服姿だ。
『ガキが何だよ?』的な視線が店員から遠慮なくぶつけられる。
 内心ではビビっていたが、不安そうなマリオンの手前、俺は慣れてる風を装って頑張った。


 まずはマリオンの物件だ。
 俺はそこに合わせるつもり。


「あー、ふたりで住むとこ探してるんですかね?」

 応対に出てきた若い男が明らかにバカにした感じで聞いてくる。


「ち、違いますよ!」


 マリオンの慌てて否定する様子に、店員が嫌な
笑いを浮かべて俺を見る。

『お前、無理矢理連れてきてんじゃねーぞ』って、言いたげ。



「別々なんです!
 私は大学受験生で、ご、合格してからなんですけど。
 こっちに住むから、その前に情報欲しいなぁ、です!」

< 29 / 171 >

この作品をシェア

pagetop