溶け合う煙

3.過去より未来

レストランを出て、次に連れて行かれたのは湾岸エリアにあるラグジュアリーホテルのペントハウスだった。

ホテルの一室に連れてこられ、一瞬身構えてしまったが、

「僕も理沙も煙草を吸うだろ?ラウンジでお酒を飲むと煙草が吸えない。」

という理由だったらしい。

「下にリムジンを待機させていおくから、怖くなったり、帰りたくなったらいつでもそれで帰ればいい。」

あぁ、、どこまで紳士なんだろう。

ペントハウスのテラスにはお酒とナッツやチーズなどの軽いおつまみが用意されていた。
レセプションでキーをもらう際にすべてセッティングしてもらったそうだ。

今の季節、夜風が冷たく感じる日もあるが、今晩はとても心地よい風が吹いている。
海越しに夜景を眺めながらホテルのテラスでお酒を飲むことになるなんて、今朝、家を出る時には想像もしていなかった。

彼はシャンパンをグラスに注ぎ、そっと渡してきので、そのまま乾杯をする。
ずっと見つめられっぱなしなので、身も心も溶けてしいそうだ。
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