甘く、溶ける、君に。


ご飯を食べることもなく考えていると、ふと名前が呼ばれてハッとした。


目の前にいる千輝くんが、箸を止めていることにやっと気がついた。

視界に映っていたにもかかわらず、全然気がつかなかった。



心なしか、ちょっと不機嫌そうな顔。千輝くんの表情なんて全く読めないから、わからないけれど。でもさっきまでと違うオーラも感じて。



もしかして、美味しくなかったかな。

麻婆豆腐のほう? 私は味見の段階でしか口にしてないから……変な味した? それとも口に合わなかったかな……と色々考えたけど、千輝くんに言われたことは全く違うことだった。




「遥乃、今別の男のこと考えてたでしょ」


「……え」





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