甘く、溶ける、君に。


寂しいからと、すぐに身体を重ねた。


寂しいからと、田邊も含めていろんな人を利用した。


純粋な女の子たちも傷つけてきてる。自分を正当化して。


そんな私に、好きだとかそんな綺麗な感情持つ資格なんてなくて、私には不釣り合いな感情で。



「……そんなん、関係ないと思うけど。

それに、真っ当に生きてきてる奴なんてほとんどいねぇよ」



口にした田邊が手を止めて、こちらを見たのが視界の端に映った。


思わず私も田邊の方に目を向けると、見たことない、苦しそうな表情をしている彼がそこにいて。



そんな表情初めて見て、驚いてしまって、固まってしまう。


なんでそんな顔、してるの?



固まった私に田邊は容赦なく近づいて、彼の手のひらが私の頬に触れる。


苦しそうで、なんだか泣き出してしまいそうで。


< 151 / 372 >

この作品をシェア

pagetop