甘く、溶ける、君に。



「……いつにも増して受け身だね」



離してくれたと思えばそんなセリフを吐いてすぐにまた口内がとろけて。


でもそんな甘い刺激に、最低な私は安心してしまっている。これでいいよ、って。


何も進まなくて何も成長しなくて、なにもなにも、変わらない、私は。



「いろいろ……決めたよ、俺」



今度こそ、離してくれたみたいで。


田邊にあまり応えることができなかったキス。

ごめん、されるがままだった、いつも以上に。




「本当は今すぐ抱きたいけど我慢する。……あ、朝の井上くんの代わりにしてあげようか?」


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