甘く、溶ける、君に。



映画の最中、田邊の視線と感覚から逃れようとポップコーンを食べる手を止めなくてかなりの量を食べた。


結局右隣の人物から集中を取り戻すことはできなくて、

私のおなかにポップコーンがたまっただけで。


空腹とは程遠くて、けどメニューに載っていたイチゴのパフェが美味しそうで、それとミルクティーを注文した。



田邊はお腹空いていないのか、コーヒーだけ頼んでいた。

飲み物と、パフェが来るまでのこの時間、田邊はそんなふうに表情を変えることなく口を開いた。



「……ど、どうだったって、それどころじゃなかったよ……」



嘘をつく理由もなくそのままを言う。本当のこと。全然内容なんて入ってこなかったんだよ。


田邊が気になってしかたなくて。



そんな田邊は甘さと優しさを兼ね備えた表情のまま。



本当にその表情は、調子狂うの。その視線の色っぽさ熱っぽさにやられてしまう。



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