甘く、溶ける、君に。



『わかった。気をつけてね』


「うん」



私から電話を切った。

切りたくなかった。誰かと電話をして、切りたくないなんて気持ちになるなんて思ってなかった。


千輝くんじゃなきゃ思わせてくれない気持ちがたくさんある。



あの時とは違う、私たちの家。

____『ぜったいちあきくんとけっこんする!』



千輝くんと再会する少し前に、夢で見た、昔の約束。

千輝くんとの思い出は小さい頃のきらきらがたくさん詰まってた。



今でこそ、場所は違うけど。

あの約束をしたのは、千輝くんの家で一緒に遊んでいた時だった。




……10年経って。



結婚、とは違うけど“千輝くんと一緒にいたい”ということをまた千輝くんの家で約束したい、なんて贅沢ですか?



私はもう、あの頃とは違う。千輝くんももちろん違う。


だけど変わらない想いもあった。



あの頃みたいなきらきらした思い出を、きらきらした気持ちをもう一度君と共有してもいいですか……?




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