甘く、溶ける、君に。
▷
昔もこうしてよく、千輝くんの家に遊びに行ってた。
あの頃はインターホンを押すのにも背伸びしていたけど、今は必要ない。
身長も中身も、何もかも変わってしまったけど、君への想いだけは昔から変わらなかった。
昔からずっと、君だけ見ていた。
あの頃は何も知らない純粋な私で、千輝くんにただ恋してた。
もう、純粋な私はいないけど。クズで最低で、人の気持ちは何も考えられない救いようのない人間だけど。
だけどそんな私も、もう一度だけあの頃と同じ気持ちを持てた。……持ち続けてた。
綺麗とか、綺麗じゃないとか、もうどうだっていい。
真っ当だとかそうじゃないとか、関係ない。似合わなくたっていい。想いは一生なくならない。