甘く、溶ける、君に。





昔もこうしてよく、千輝くんの家に遊びに行ってた。


あの頃はインターホンを押すのにも背伸びしていたけど、今は必要ない。


身長も中身も、何もかも変わってしまったけど、君への想いだけは昔から変わらなかった。



昔からずっと、君だけ見ていた。



あの頃は何も知らない純粋な私で、千輝くんにただ恋してた。



もう、純粋な私はいないけど。クズで最低で、人の気持ちは何も考えられない救いようのない人間だけど。


だけどそんな私も、もう一度だけあの頃と同じ気持ちを持てた。……持ち続けてた。



綺麗とか、綺麗じゃないとか、もうどうだっていい。

真っ当だとかそうじゃないとか、関係ない。似合わなくたっていい。想いは一生なくならない。



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