甘く、溶ける、君に。
……もう、後戻りはできない。
1秒、2秒、3秒……。出てくるまでが異様にゆっくりに感じる。
少し走ってきたのもあって、心臓の音がどきどきいって、毎秒速く、うるさく高鳴る。
ガチャ、という音がして、ドアから現れた人物を捉える。
私の大好きな人。朝、一緒に登校した人。さっき電話で声を聞いた人。
それなのに、もう何年も会ってないみたいに、姿を見ただけで涙が出そう。その人がそこにいるだけで、再会できた奇跡で泣きそうになる。
まだ制服姿のままの君は、いつも通りの柔らかい表情だ。
「早かったね、はる______」
「______好き」