甘く、溶ける、君に。
これである。そしてこれが瑛斗に繋がっていることは、ほとんどの人間が知らない。
なぜ私が知っているかといえば、日頃瑛斗を追っていたから、とでも言うべきか。
顔つき、眼差しが、私や他の子、友人に向けるものとは全く違う。
桃井さんに向ける顔は、他の誰にも向けないものだ。
この世全ての優しさを集めましたみたいな柔らかいオーラで、猫みたいな顔をしているくせに、顔が緩んで綻んで垂れ目になったんじゃないかと錯覚する。