甘く、溶ける、君に。
そのまま歩き出そうとするけど、どうしても千輝くんのほうが身長が高くて、傘がさしにくい。
いつもよりもかなり上の方で持たないと、千輝くんの頭まで隠れない。
めいっぱい傘を上の方にやろうとする私の右手が、千輝くんの左手に触れて。
当たり前みたいに傘を奪われて、簡単に持ち上げる。
「傘くらいさすから。無理すんなよ」
アスファルトを叩きつけて反射する粒が、足にかかって冷たい。むしっとして、制服がもわっとしてきもちわるくなる。早く家に帰って着替えたいよ。
……早く家に着いて、いったん千輝くんに対する感情を整理したい。
これから、どう接していけばいいのか。
どう関わっていけばいいのか、はたまた関わらないほうがいいのか。
色んな感情が私の中を支配して、とても千輝くんといたらまとまってはくれない。
何が最善なのか、わかんないの。
「……あのさ。昼はごめん、いろいろ」