実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「ライラよ……これまで通りと簡単に言うが、相当難しいことだぞ。皆がお前に関心を寄せているし、期日が迫るにつれ、ハッキリ探りを入れる人間は増えるだろう。婚約者候補の内、誰に取り入るべきか、計りかねている重鎮達も多いからな。
それに、ランハート以外の婚約者候補――バルデマーなどは自分にまだ望みがあると思い、お前に向かってくるのだ。ライラは感情がすぐ表に出るし、一体どうなることやら……」

「とか何とか言って――――本当は隠し通せると思っていないんでしょ」


 憂いを帯びた瞳が、おじいちゃんの考えを如実に物語っている。唇を少し尖らせつつ、わたしは首を横に振った。


「わたしだって、ちゃんと後継者教育頑張ってるんだからね! これでも、以前よりは感情を隠すのが上手くなったんだから! おじいちゃんからすれば、まだまだなのかもしれないけど」


 事実、家出騒動を乗り越えて以降、講師たちから褒められる頻度がかなり増えた。気持ち一つで、能力の身に付くスピードは格段に増すらしい。わたし自身、かなりの手ごたえを感じている。まあ、婚約者候補達には全く成果を発揮できていないので、説得力は無いのだけど!


「知っているさ。おまえは良くやっているよ」


 おじいちゃんはそう言って、穏やかに目を細める。


「え……?」


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