実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「ロナルド達が作ってくれた方が、姫君らしい、完璧な原稿が出来るんだろうなって分かっているのよ? だけど、それだとわたしの想いが込められないでしょう? だから、何を伝えたいか自分で考えて、それから添削してもらいたいなぁと思って」


 拙くとも、他の誰かが決めたものではなく、自分の言葉で。王太女としての覚悟と想いを伝えたい。
 そう思っているのだけど。


「……ダメ? 良いとこどりが過ぎるかな?」


 すっかり言葉を失った様子のロナルドに、わたしは小さく首を傾げる。


「いいえ。姫様は……いえ、ライラ殿下は、やはりクラウス殿下の子でいらっしゃるのだなぁと感慨に耽っておりました」


 そう言ってロナルドは穏やかに微笑む。
 胸が熱い。わたしは大きく頷きつつ、ロナルドに向かって微笑んだ。


「――――と、そういえば、彼の様子はどう? 少しは元気になったかしら?」


 誰、とは明言せずに問い掛けると、ロナルドは困ったようにため息を吐いた。


「いえ。未だ塞ぎこんだ様子で、割り振られた仕事を淡々とこなしております」

「……そう」


 目を瞑ると、最後に会った時の彼――――バルデマーの表情が目に浮かぶ。

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