実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
(本当は心のどこかで分かっている)


 もう、どうしようもないんだって。受け入れるしかないって分かっているからこそ、こんなにも苦しい。気持ちの遣り処が見つからなくて、辛かった。


「…………ごめんなさい、アダルフォ」


 だけど、これ以上自分を嫌いになりたくはない。謝罪の言葉を口にしたわたしに、アダルフォは先程よりも大きく目を見開いた。


「酷いことを言ってごめんなさい。本当に、ごめん」


 あまりにも申し訳なくて、段々と言葉が尻すぼみになっていく。


(きっとアダルフォは、わたしのことを嫌な人間だと思っただろうなぁ)


 これからしょっちゅう顔を合わせるであろう護衛騎士だというのに、初っ端から軋轢を作ってしまった。完全なる自業自得。穴があったら入りたい気分だ。

 わたしの場合残念ながら、王の資質がどうだとか、そういう次元にすら辿り着けそうにない。人としてダメダメ。そう思うと大きなため息が口を吐く。

 沈黙に耐え兼ねてチラリと顔を上げると、アダルフォは醒めた瞳でこちらを見つめていた。表情からちっとも感情が読み取れない。わたしは思わず目を逸らした。


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