実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
(こんな風に誰かに気遣ってもらえるのは嬉しい)


 だけど、今は未だ、誰かに甘えて良い時じゃない。


(いや――――初日にアダルフォに思い切り甘えてしまったんだけど!)


 それでも、あれ以降はあんなにみっともなく感情を爆発させることは無かったし。最初から甘える前提で取り組んでいたら、おじいちゃんの跡なんて継げるはずがないもの。
 コホンと小さく咳ばらいをしつつ、わたしはゆっくりとバルデマーに向き直った。


「ありがとう、バルデマー。わたし、一緒にお茶をしてくれる友達をずっと探していたの」


 わたしの答えが意外だったのか、バルデマーはほんのりと目を丸くし、目を瞬かせる。


「陛下ったら、ちっとも一緒に食事を摂ってくださらないんだもの。ここで出るお茶もお食事もとっても美味しいのに、誰とも共有できなくて、すごく残念だなぁって思っていたの。
その点、バルデマーが相手なら気が楽だし、とても嬉しいわ」


 ゆっくりと、まるで子どもに言い聞かせるようにして言葉にする。
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