実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
 バルデマーには『平民出身の癖に、変な意地を張ってる』って思われたかもしれない。
 事実、わたしは今、物凄く意地を張っている。誰かと一緒にお茶を飲みたいっていうのも、おじいちゃんからしたら、落第レベルの情けない回答なのかもしれない。それでも、これがわたしが出来る精一杯の強がりだった。

 しばらくの間、バルデマーは何も言わずにわたしのことを見つめていた。わたしも負けじと彼のことを見つめ返す。ここで彼に『否』と言われてしまっては、面目丸つぶれだ。気持ちを強く持ち、彼の返事を待ち続ける。


「――――承知しました。でしたら今後は、私を姫様のお茶友達として自由にお呼びください。いつでも姫様の元に馳せ参じます」


 バルデマーはそう言って、穏やかに目を細める。


「良かった。よろしくね、バルデマー」


 私はそう答えつつ、最近覚えたばかりの不敵な笑みを浮かべるのだった。
< 46 / 257 >

この作品をシェア

pagetop